シブがき隊を語る上で避けて通れないのが、長年にわたって囁かれ続けた「シブがき隊 不仲説」の真偽です。後年のテレビ番組や自著での告白において、メンバー自身が当時の関係性を驚くほど率直に振り返っています。
布川敏和がバラエティ番組で明かした証言によれば、「楽屋ではほとんど私語がなく、お互いのプライベートな電話番号すら知らなかった」という極端な冷戦状態が日常化していました。移動中の車内でも視線を合わせず、仕事以外の会話は皆無。マネージャーを通じて業務連絡を取り合う時期が続いていたといいます。
しかし、これは陰湿ないじめや感情的な罵り合いではなく、徹底したビジネスパートナーとしての割り切りでした。合宿所で共同生活を送り、思春期の多感な時期に24時間体制で競い合わされた少年たちが、自己のアイデンティティを守るために引いた「心理的防衛ライン」だったのです。ステージに立てば阿吽の呼吸で完璧なフォーメーションを魅せる一方、オフに戻れば干渉を断ち切る。その緊張感があったからこそ、グループ特有の鋭いエッジが維持されていた側面も見逃せません。