手作りドール服の世界には、初心者が足を取られやすい構造的な盲点がいくつか存在します。ネット上の情報を鵜呑みにして制作を始めると、完成した段階で「着せられない」「すぐに壊れた」という悲劇に見舞われます。
代表的な誤解の一つが、100均ドール服のサイズ互換性です。ダイソーで長年販売されている「エリーちゃん」の既製服は、一見するとリカちゃんにも流用できるように思えます。しかし、実際には肩幅や胸囲、ウエスト位置がリカちゃんのプロポーション(標準身長約22cm)とは微妙に異なります。無理に着せようとすると背中のマジックテープが留まらなかったり、首回りが詰まって不格好になります。したがって、ダイソーリカちゃん服リメイクを行う際は、背面の布地を一度切り開き、ストレッチレースや延長布を足すリサイズ加工が不可欠となります。
対照的に、近年クラフト分野を強化しているセリアでは、セリアドール服型紙や可動式ドール素体用のパーツが豊富に展開されています。ただしセリアの型紙コーナーに並ぶ資材は「7cm〜10cm前後のミニチュア素体用」と「20cm前後のドール用」が混在しているため、パッケージ裏面に記載された推奨ドールサイズを厳密に確認しないと、全く寸法の合わない型紙を購入してしまうリスクがあります。
もう一つの落とし穴は、布用接着剤の選定と塗りすぎです。強力さを求めるあまり、木工用ボンドや瞬間接着剤を布地に使ってしまう失敗が多発しています。木工用ボンドは水分によって布が縮んで硬直化し、瞬間接着剤は化学反応で布が白化(白く変色)した上でプラスチックのようにカチカチに固まり、リカちゃんの関節や肌を傷つける原因になります。必ず「ウレタン樹脂系」で柔軟性を保ったまま乾くドール服対応の接着剤を選び、爪楊枝の先端でごく薄く均一に伸ばすのが失敗を防ぐ必須条件です。