最高裁での上告棄却から年数が経過した現在、渋谷恭正はどこでどのような境遇に置かれているのでしょうか。行刑施設の運用実態や登記簿情報、地元周辺の動向を取材した事実から現状を紐解きます。
現在の収容先:LB級刑務所での服役実態
法務省の規定により、個別の受刑者の現在地が公表されることはありません。しかし、日本の刑務所分類において「長期刑(懲役10年以上・無期懲役)」かつ「犯罪傾向が進んでいない(初犯扱い)」とされる受刑者は、専門施設である「LB級刑務所」に収容される厳格なルールがあります。
東日本管内における該当施設としては、千葉刑務所をはじめ、宮城刑務所や横浜刑務所などが代表的です。渋谷恭正は拘置所からこれらのLB級受刑施設へと移送され、厳重な警備のもとで工場作業や独居拘禁の刑務作業に従事しています。
拘置所関係者や弁護士との面会情報によると、渋谷は刑務所内でも反省の言葉を口にすることはなく、「自分は国家権力と警察の捏造に嵌められた被害者だ」という趣旨の不合理な主張を維持し続けていると伝えられます。外部との手紙のやり取りや支援者を通じた再審請求の動きを模索している形跡はあるものの、科学的証拠が完全に確定した現在、再審の扉が開く可能性は客観的に見て極めてゼロに近いのが現状です。
離散した家族と競売にかけられた自宅マンション
犯行当時、渋谷の元で暮らしていた家族の日常は完全に崩壊しました。事件発覚直後、親族や子どもたちは世間の厳しい糾弾と好奇の目に晒され、地元を追われるように退去。戸籍上の改姓を行い、身元を隠しながらひっそりと暮らさざるを得ない過酷な逃避行を強いられました。
一方、事件の舞台ともなった六実駅前の4階建て自宅マンションは、法的な清算手続きが進みました。2021年に千葉地裁が命じた約7000万円の民事賠償金に対し、渋谷側が一切の支払いを拒み続けたため、被害者遺族側は渋谷名義の不動産に対する強制執行・差押えの手続きを断行。競売にかけられた結果、所有権は第三者へと移転し、地域に長年影を落としていた「加害者の居城」は名実ともに解体・整理へと向かいました。しかし、得られた回収金は請求額に遠く及ばず、遺族の金銭的・精神的苦痛が癒えることはありません。