サーモスの製品を手にしたユーザーが最も戸惑うのが、「日本企業のブランドなのに、なぜ製品底面には『MADE IN JAPAN』と書かれていないのか」という点です。大手ECサイトの購入者レビューや知恵袋でも、「中国製やマレーシア製と書いてあったが偽物ではないか」という不安の声が散見されます。
結論から述べると、現在流通しているサーモス製品の大部分は、中国およびマレーシアに構える大規模自社工場で製造された正規の純正品です。
サーモスは1990年代以降、急速な世界需要の拡大に対応するため、製造ラインのグローバル集約を進めました。1995年には中国・江蘇省に「膳魔師(中国)家庭制品有限公司」を設立し、続けてマレーシアにも最新設備を備えた大型製造拠点を構築しました。ここで留意すべきは、外部の下請け工場へ丸投げする一般的なOEM生産ではなく、「設備設計から品質管理マニュアル、従業員の技能教育まで自社基準で直営する専用工場」であるという点です。
中国製とマレーシア製の違いについて、ネット上では「マレーシア製の方が品質が良い」「中国製は塗装が剥がれやすい」といった個人の感想が飛び交っていますが、工場間による品質スペックの優劣は存在しません。差異は主に「生産ラインの担当カテゴリー」にあります。
- マレーシア工場:主に基幹モデルである軽量スリムボトル(JNLシリーズやJNRシリーズなど)や、高いプレス精度が求められる標準的真空断熱ボトルの大量生産を担当。
- 中国工場:スープジャー、ランチボックス、フライパン等の調理器具、複雑な樹脂成型パーツが組み合わさる多機能ボトルや大容量スポーツジャグなどを幅広く担当。
いずれの工場においても、産業ガス配管レベルの高精度な真空引き工程と、1本ごとの全数温度検査が義務付けられています。製造国がどこであっても、日本酸素グループが培った「100万分の1気圧以下という超高真空を維持する技術規格」が厳格に守られています。