2000年代半ばの邦画シーンにおいて、本作が打ち立てた記録と記憶は突出していた。月刊誌『Cookie』で連載され、集英社が誇る大ヒットコミックとなった矢沢あいの少女漫画『NANA』。これを東宝が配給を手掛け、実写映画化に踏み切ったプロジェクトは、まさに日本映画史に残る大ギャンブルであり、歴史的大成功であった。
当時の邦画界では、人気少女漫画の実写化は成功の難易度が高いとされていた。世界観の崩壊や原作ファンの反発を招くリスクが常に付きまとうからだ。しかし、配給を担当した東宝と制作陣は、徹底したキャスティングと圧倒的な世界観の再現にこだわり抜いた。興行収入40億円を超えるメガヒットを記録した背景には、単なるタレント映画に終わらせず、原作の持つ切実な人間ドラマとロックな世界観を妥協なく映像化しようとした制作陣の執念があった。