「どうせ駆けつけに15分以上かかるなら、形骸化しているのではないか」という疑念に対し、環境犯罪学と犯罪心理学は明確なカウンターデータを提示しています。ホームセキュリティ最大の価値は、警備員が到着することそのもの以上に、ホームセキュリティ空き巣抑止効果という「心理的排除トラップ」にあります。
都市防犯の研究機関や元窃盗犯への聴取調査において、侵入犯が犯行対象から外す理由の筆頭に挙げるのが「音」「光」「時間」「目」の4大要素です。侵入犯の約7割は「侵入に5分以上かかると犯行を諦める」と証言しています。窓ガラスを破壊した瞬間に大音量の防犯ブザーが鳴動し、フラッシュライトが周囲を照らし出す仕組みがある家に対し、あえてリスクを冒して侵入を強行する窃盗犯は合理的に存在し得ません。
さらに、外壁や門扉、インターホン横に貼られた警備会社の「警告ステッカー」は、プロの空き巣に対する極めて強固な心理的障壁となります。窃盗犯は犯行前に必ず入念な下見を行いますが、ステッカーを確認した時点で「この家は防犯意識が高く、侵入センサーや窓ロックが施されている可能性が高い」と判断し、下見の段階で標的リストから除外します。つまり、警備員を一度も呼ばずに平穏な生活が続いている状態こそが、ホームセキュリティが完璧に機能している証拠なのです。この因果関係の逆転に気付かないことが、「何も起きないから意味がない」という誤った結論を導く原因となっています。