1985年にスタートした『ニュースステーション』は、日本の報道番組の歴史を根底から変えた。固苦しいスーツに身を包み、原稿を正確に読むだけだった従来のニュースキャスターのイメージを覆し、久米宏はノーネクタイやカジュアルなジャケット、印象的なメガネ姿でカメラの前に立った。この革新的なビジュアルを生み出した張本人こそ、妻の麗子氏である。
「ニュースを日常の会話に変える」というコンセプトを形にするため、彼女は夫の身に着ける一枚のシャツ、メガネのフレームに至るまで徹底的にこだわり抜いた。また、フリーアナウンサーとして毎日張り詰めた生放送に挑む久米に対し、自宅ではあえて仕事の話題を一切出さず、完璧なオンとオフの切り替え空間を作り出していたという。番組が18年半にわたり高い視聴率を維持し続けた背景には、間違いなくこの夫婦の緻密な戦略があった。