今井美樹の代表曲であり、日本のポップス史に燦然と輝く名曲『PRIDE』(1996年10月リリース)。布袋寅泰が作詞・作曲・編曲を手掛けたこの楽曲は、シングル売上160万枚を超えるメガヒットを記録し、今井美樹というシンガーの評価を不動のものにしました。しかし、この美しいメロディの裏側に潜んでいたのは、まさに布袋・山下・今井の三角関係が頂点に達していた時期の剥き出しの愛憎劇です。
「私は今 南の風に吹かれながら」「貴方への愛こそが私のプライド」という歌詞は、世間からの激しい批判に晒されながらも布袋への想いを貫こうとする今井の覚悟を、布袋自身が言語化して彼女に歌わせたものとして語り継がれています。音楽プロデューサーとしての冷徹な観察眼と、一人の男性としての熱情が交錯したこの楽曲は、皮肉にも山下久美子にとって「自らの家庭が崩壊していく決定打」として突きつけられる形となりました。
当時の音楽関係者やレコーディングスタッフの証言によると、スタジオ内の空気は張り詰めており、一音一音に異様な執念が込められていたと伝えられます。罪悪感と情熱が同居する極限の精神状態から生まれた芸術的昇華。大衆が純愛のアンセムとして受け入れる一方で、その誕生の背景には、元妻の耐え難い犠牲と、批判を呑み込んで突き進む二人の狂気にも似た「プライド」が確かに横たわっていたのです。