映像表現の端々には、過去の異端児たちへの敬意と挑戦が色濃くにじむ。アングラ芸術の金字塔として名高い丸尾末広の『少女椿』が持っていた見世物小屋的グロテスクと無垢の対比、そしてラース・フォン・トリアー監督が『ダンサー・イン・ザ・ダーク』で見せた無慈悲なまでのヒロインの解体劇。本作の監督は、それら先人たちの毒気を巧みにブレンドし、現代のリアリズムへと昇華させた。
湿り気のある色彩設計と計算し尽くされた陰影は、観客に生理的な不快感と奇妙な耽美主義を同時に植え付ける。破滅へとひた走る少女の横顔を長回しで捉えたシークエンスは、観客に「見届ける責任」を強制する冷酷な美しさに満ちている。