結束バンドを切らずに外すための第一歩は、そのロック機構を正しく可視化して把握することにあります。国内の電設現場でデファクトスタンダードとなっているヘラーマンタイトン社製の「インシュロック(Insulok)」をはじめ、現在流通しているナイロン製結束バンドの9割以上は、「ヘッド内部の係止爪(ラチェット)」と「バンド表面のセレーション(ギザギザの歯)」による一方通行の噛み合わせで固定されています。
バンドをヘッドの通し穴に挿入すると、内部に設けられた柔軟な爪がバンドの歯を乗り越えながら前進します。しかし、逆方向に引っ張る力がかかると、爪の角がバンドの歯の垂直面に食い込み、物理的にロックがかかる仕組みです。ヘラーマンタイトンの構造解説資料などによると、この爪はわずかコンマ数ミリ単位の薄いナイロン樹脂で作られており、バネのような弾力を持っています。
したがって、結束バンドをロック解除する物理的な原理はただ1つ、「ヘッドの爪をバンドの歯から押し上げ、噛み合わせの隙間を作った状態でバンドを逆方向に引き抜く」ことにつきます。力任せに引っ張ってもロックは強固になるだけですが、ツメの位置を正確に把握してアプローチすれば、驚くほど軽い力でスルリと引き抜くことができます。