姉が映画の世界で革新を起こす一方、五代目尾上菊之助もまた古典の枠組みを壊す大勝負に出た。その最たる例が、宮崎駿の名作を舞台化し、大ヒットを記録した『新作歌舞伎 風の谷のナウシカ』である。松竹株式会社とタッグを組み、古典歌舞伎の技法を用いながらアニメーションの壮大な世界観を再現したこの公演は、歌舞伎界に強烈なインパクトを与えた。
伝統を守るだけでなく、新たな観客層を開拓しようとする弟の挑戦に、姉も大きな刺激を受けたという。名門・音羽屋の名に甘んじることなく、常に危険な賭けに挑み続けるスタイルは、形は違えど姉弟に共通する天性の「革新者の血」と言えるだろう。