『大人になれなかった弟たちに』指導案|板書と発問で深める国語授業

『大人になれなかった弟たちに』指導案|板書と発問で深める国語授業

『大人になれなかった弟たちに』指導案|板書と発問で深める国語授業を詳しくリサーチ! 知っておきたい トピックの裏側を凝縮して配信します。

授業の成否を分けるのは、生徒の思考を深める「発問」の質です。表層的な事実確認だけで終始すると、生徒の感想は「かわいそうだった」「戦争はよくない」という平板な言葉に終始してしまいます。登場人物の心情変化と内面的な葛藤を浮き彫りにする発問例を提示します。

発問例1(僕の葛藤):
「『僕』は弟ヒロユキのことをどう思っていたのでしょうか。それなのに、なぜミルクを盗み舐めしてしまったのか、本文の言葉を手がかりに説明してみましょう」
【狙い】「弟を愛しく思う気持ち」と「生理的な極限の飢え」という自己内部の引き裂かれるような葛藤を捉えさせ、単なる悪意や我が儘ではない極限状態の恐ろしさを実感させます。

発問例2(母の沈黙):
「ヒロユキが死んだとき、母はなぜ大声をあげて泣かなかったのでしょうか。『涙も出ない』という描写から、母のどのような心情が読み取れますか」
【狙い】悲しみが極限に達したとき、人間は涙すら枯れ果てるという心理描写に着目させ、母の絶望の深さと、生き延びなければならない過酷な現実を考えさせます。

発問例3(タイトルの意図と主題):
「もしこの本の題名が『大人になれなかったヒロユキに』だったら、作品の伝わり方はどう変わるでしょうか。なぜ『弟たち』という複数形が使われているのか考えてみましょう」
【狙い】作者の個人的な追悼の手記にとどまらず、戦争によって未来や夢を奪われた世界中のあらゆる子どもたちへの鎮魂と告発が込められているという主題に到達させます。

生前の米倉斉加年氏は、自著や特番インタビューにおいて「自分自身の卑しさ、弱さを告白せずには死ねないという思いがあった」と述懐しています。この痛切な作家の手記の重みを受け止める問いかけを行うことで、生徒は教室の中で自分自身の弱さや他者への共感と向き合うことになります。

小林 直樹
著者

小林 直樹

シンプルで洗練された住まいづくりとインテリアコーディネートのアイデアを提案しています。