一般に日本の教科書や辞書に掲載されている数の単位は、江戸時代の数学書『塵劫記(じんこうき)』に由来する体系です。一、十、百、千、万、億、兆、京……と続き、極、恒河沙、阿僧祇、那由他、不可思議を経て、最後に行き着くのが「無量大数($10^{68}$、または古義で$10^{88}$)」です。
無量大数であっても「1の後ろに0が68個並ぶ(69桁)」という凄まじい大きさですが、不可説不可説転のスケールはこれらを完全に置き去りにします。
数学的に導き出される正確な指数と0の数
八十華厳の定義に基づき、不可説不可説転を厳密な数学的指数で表記すると以下のようになります。
不可説不可説転 = $10^{7 \times 2^{122}}$
ここで指数部分にある $7 \times 2^{122}$ を実際に計算してみると、次の数値が得られます。
$7 \times 2^{122} = 37,218,383,881,977,644,441,306,107,690,387,188,304$
すなわち、不可説不可説転を「10の何乗か」で表すと、およそ$10^{3.72 \times 10^{37}}$となります。これは「1」の後ろに続く「0」の数自体が、およそ37澗(かん)2183溝(こう)8388穣(じょう)……個並ぶことを意味しています。
観測可能な全宇宙に存在する素粒子の総数が約$10^{80}$個程度と推計されていますが、不可説不可説転は「数そのもの」どころか、「0を書き連ねる作業」だけで宇宙中の全原子を使っても紙やスペースが全く足りないという、人間の直観を完全に超越した桁数なのです。