ハ音記号は、くびれを配置する五線の高さによって複数のバリエーションが存在します。現代の演奏現場で頻出する代表格が「アルト記号」と「テノール記号」です。
① アルト記号(第3線が中央ド)
五線の下から3番目の線(第3線)にくびれが位置するタイプです。オーケストラや弦楽四重奏におけるビオラの楽譜の標準表記として広く知られています。五線のど真ん中が「ド」になるため、線上の音は下から順に「ファ・ラ・ド・ミ・ソ」、間(線と線の間)の音は下から「ソ・シ・レ・ファ」と並びます。
② テノール記号(第4線が中央ド)
下から4番目の線(第4線)にくびれが位置するタイプです。主にチェロの高音部、トロンボーン、ファゴット(バスーン)などで使用されます。普段ヘ音記号で演奏する低音楽器が高音域のソロやメロディを担当する際、加線を避けるためにテノール記号へ切り替わります。第4線がドになるため、第1線は「ラ」、第3線は「ファ」となり、音域全体がアルト記号よりも3度高い位置へとシフトします。
なお、古典派以前の声楽曲や楽典の専門書では、第1線がドになる「ソプラノ記号」や、第2線がドになる「メゾソプラノ記号」なども登場しますが、現代の器楽演奏においてはまずアルト記号とテノール記号の2種類を完璧に押さえておけば困ることはありません。