さくら市を一括りの天気予報で捉えることには構造的な無理があります。2005年の合併によって誕生したこの街は、旧氏家町を中心とする西側の鬼怒川沿岸平野部と、旧喜連川町を中心とする東側の八溝山地南西縁の丘陵地帯という、性格の全く異なる二つの地形で構成されているからです。
JR宇都宮線氏家駅周辺や国道4号線が通る氏家地区の気象詳細を見ると、日光連山からの吹き下ろしである「男体おろし」の風速を受けやすく、冬場は乾燥した強風が吹き抜ける一方で、夏場は平野部のヒートアイランド現象の影響を受けて日中の最高気温が高止まりする傾向があります。遮蔽物が少ない開けた地形のため、遠方の黒い雨雲の接近を視覚的に捉えやすいのが特徴です。
対照的に、荒川や内川が流れ温泉街として名高い喜連川地区のピンポイント天気は、周囲を丘陵に囲まれた盆地状の微気候を形成しています。夜間から早朝にかけては冷気が盆地の底に溜まる「冷気湖」が発生しやすく、冬場の最低気温は氏家地区よりも1〜2度低く記録されることが珍しくありません。また、晩秋から早春にかけては濃霧の発生率が跳ね上がり、国道293号線などの主要幹線道路では急激な視界不良による走行注意が日常茶飯事となっています。