渡辺直美という表現者を語る上で外せないのが、フジテレビ系のバラエティ番組『ピカルの定理』(2010〜2013年)で誕生した伝説的キャラクター「白鳥美麗(しらとり みれい)」です。学園を舞台に、吉村崇(平成ノブシコブシ)や綾部祐二(ピース)演じるイケメンたちが「絶世の美女」として白鳥美麗を本気で奪い合うという逆転の構図は、当時のお茶の間に強烈なインパクトを与えました。
太眉に独特のヘアスタイル、堂々たる立ち振る舞い。単なる容姿いじりの枠組みを逆手に取り、「彼女こそが究極の美の象徴である」という世界観を圧倒的な演技力でねじ伏せた白鳥美麗は、シングルCD『ピカル 恋がしたい』をリリースする社会現象へと発展。当時の特番インタビューにおいて渡辺本人は「自分が一番可愛いと信じ切って演じることが全てだった」と語っており、その確固たる自己肯定感の提示が視聴者に爽快感を与えました。
一方で、プロデューサーとしての才能が結実したのが、2014年に立ち上げたファッションブランド「PUNYUS(プニュズ)」のアイコンキャラクターたちです。特にファンの間で親しまれているのが、チーズをかじる姿が愛らしいネズミのキャラクター「いただきマウス」。さらに、目玉焼き、ピザ、小籠包、練乳といったフードをポップかつ大胆にデフォルメしたイラストシリーズは、ブランドの代名詞となりました。
バラエティ番組のコントからファッションブランドのシンボルへ。渡辺直美が手掛けるキャラクターの名前やルーツを辿ると、そこには常に「既成概念を覆すユーモア」と「ポジティブな自己愛」が一貫して流れていることが分かります。