国防動員法が発令された際、最も深刻かつ直接的な打撃を受けるのが、中国現地に進出している日系企業と数万人規模の在留邦人です。
日系企業が直面する最大のリスクは工場、設備、物流網、通信機器の強制徴用です。国防動員法第54条および関連規定により、有事の際には中国国内にある外資企業の施設や車両、資機材はすべて軍の統制下に置かれ、補償の有無に関わらず軍事目的に転用される恐れがあります。さらに、知的財産や機密データの差し押さえも合法的に行われます。
同時に、在留邦人の安全確保と退避(エバキュエーション)は極めて困難な局面を迎えます。有事発令時には空港や港湾などの交通インフラが軍に最優先で割り当てられ、民間航空機の運航停止や出国制限が敷かれる可能性が高いためです。
さらに、改正反スパイ法などを口実とした日本人駐在員の不当拘束や人質化のリスクも高まります。進出企業は平時の今から、有事初動における駐在員の退避基準や遠隔でのデータ遮断など、具体的な有事BCP(事業継続計画)を構築しておくことが不可欠です。