日常会話やテキスト入力で最も混同されやすいのが、「こけら」の表記です。多くの人が果物の「柿(かき)」と同じ漢字だと思い込んでいますが、実際には全く異なる別の漢字です。
木材を薄く削いだ板を指す「杮(こけら)」は、旁(つくり)の中央の縦棒が上から下まで一本の直線で突き抜ける「8画」の漢字です。一方、果物の「柿(かき)」は、旁が「市(いち)」と同じ構造になっており、上部の「亠(なべぶた)」と下部の「巾」が分かれている「9画」の漢字です。現在のパソコンやスマートフォンのフォント環境では同一に見えるケースもありますが、文字コード規格(JIS規格)上も明確に区別されています。
語源となったのは、日本の伝統的な建築工法である「杮葺き(こけらぶき)」です。板葺き屋根の工事が完了した際、屋根の上に残った細かな木屑(こけら)を最後に払い落として建物を完成させたことから、「工事の終わり=劇場の完成を祝い、興行を始める」という意味へと転じました。