ネット上の情報やSNSの言説において、2018年の映画シーンにはいくつかの誤解や見落とされがちな事実が存在します。
第一の誤解は、「『ボヘミアン・ラプソディ』はクイーンの熱心なオールドファンだけが支えた」という説です。実際の劇場動向や当時の出口調査データを検証すると、観客の約半数はクイーンの全盛期を知らない10代〜20代の若年層でした。TikTokやYouTubeを介した音楽の再評価と、「生きづらさを抱えながら自分を貫いたフレディ・マーキュリーの生き様」への若者の共感が動員の主因でした。
第二の盲点は、アカデミー賞作品賞を受賞した『シェイプ・オブ・ウォーター』(日本公開2018年)や『グリーンブック』(全米2018年公開)に代表される、「他者理解とマイノリティの連帯」というグローバルなテーマ性です。単なるエンタメ大作の陰で、人間ドラマの深層を掘り下げた秀作が数多く輩出されていた点は再認識されるべき事実です。