香港ハローキティ殺人事件の直接的な引き金となったのは、被害者と加害者グループの間に生じた金銭トラブルでした。ファンさんは過去にチャン・マンロクの元から金品(数千香港ドル相当、日本円で数万〜十数万円程度)を窃取したとされ、チャンはその返済と法外な「利息」を執拗に要求していました。
しかし、単なる債権回収の枠をはるかに超えて事態が凄惨を極めた最大のハローキティ事件の理由・動機は、加害者グループが常習していた「アイス(覚醒剤)」による深刻な薬物中毒と、密室空間が生み出した異常な集団心理にありました。加害者らは連日薬物を乱用しながらファンさんを拘束し、暴行を娯楽のようにエスカレートさせていったことが裁判の証言で明らかになっています。
理性を完全に失った男たちは、被害者が息を引き取った後、犯行の発覚を恐れて遺体の徹底的な損壊と証拠隠滅を画策しました。遺体の一部を煮沸処理し、頭部を部屋にあった大きなハローキティのぬいぐるみの中綿を抜いて縫い込むという常軌を逸した行動に出たのです。この異様な隠滅工作こそが、事件が「ハローキティ事件」と呼ばれる所以となりました。
事件解決の糸口となったのは、加害者の一人であるリョン・ワイナンの交際相手だった当時13歳の少女(通称:阿芳)の行動でした。犯行現場に出入りし暴行の一部を目撃・強要されていた彼女は、被害者の霊が毎晩夢枕に立つという激しい精神的苦痛に耐えかね、ソーシャルワーカーに相談した後に警察へ自首。この少女の証言によって、迷宮入り寸前だった猟奇事件の全貌が一気に暴かれることとなりました。