きづきあきら・サトウなんきの黄金コンビが紡ぎ出した『極限夫婦』は、結婚という契約関係を隠れ蓑にした「人間性の簒奪」を冷徹な視点で暴き出したオムニバス復讐劇です。描かれるのは、外から見れば絵に描いたような円満家庭でありながら、玄関の鍵を閉めた瞬間に始まる地獄。家事育児のワンオペ搾取と人格否定、外面の良さに隠された悪質な不倫、そして親離れ・子離れが破綻した異常な母子癒着など、多くの家庭に潜在するタブーが凝縮されています。
本作の結末が読者に凄まじい衝撃を与えた理由は、加害者である夫たちの謝罪や反省を一切免罪符にしなかった点にあります。「やり直したい」「反省している」という加害者の都合の良い泣き落としを妻たちは冷徹に退け、正当な法的手続きと経済的・社会的ペナルティを完膚なきまでに執行しました。絶望の淵から這い上がった女性たちが自らのアイデンティティを取り戻す物語の掉尾は、観る者に強烈な解放感と現実社会の厳しさを突きつけます。