全13巻にわたる原作の重厚な群像劇を約105分の劇場版に落とし込むにあたり、監督の月川翔と脚本の金子ありさは明確な取捨選択を行いました。原作既読者と初見の視聴者で評価が分かれる背景には、この大胆なストーリー再構築があります。
実写版における主な改変点とストーリーの結末は以下の通りです。
原作で丹念に描かれた「吉田家の根深い確執」や、春の兄・優山との泥沼の確執、そして名古屋(春が拾ったニワトリ)を巡る細かなエピソードの多くは簡略化されました。また、原作終盤の大学進学や社会人編、結婚式に至るエピローグは映画内では描かれません。
物語のクライマックスは、高校の文化祭と卒業を意識する時期に設定されています。自分の感情の処理に戸惑い一時的に雫の前から姿を消した春が、雫の真摯な呼びかけと仲間たちの支えによって再び戻り、夕暮れの屋上で互いの想いを交わす場面が実写版のエンディングとなりました。「互いの夢と現実に向き合いながら、隣に居続ける」という、思春期の自立を祝福する爽やかな幕引きです。