インターネット上の掲示板やSNSでは、時折「『つるピカハゲ丸くん』の最終回はトラウマ」「一家が借金取りに追われて夜逃げした」「ハゲ丸が不治の病で倒れた」といった不穏な言説が飛び交うことがあります。しかし、これらはすべて後年に創作された完全な都市伝説・ネットミームに過ぎません。
公式の事実関係を整理すると、小学館のてんとう虫コミックスから刊行された『つるピカハゲ丸くん 単行本』は全25巻に及びます。1994年に迎えた原作の完結エピソードは、ハゲ田一家が近所の人々を巻き込んで相変わらずのケチ対決を繰り広げ、最後の最後まで「これぞつるセコ!」と胸を張る痛快な日常エンドでした。連載が約9年におよんだため、劇的なドラマ性をあえて排し、子どもたちがいつでも戻ってこられるギャグ漫画としての定石を守り抜いた結末です。
一方、1988年3月から1989年10月までテレビ朝日系列で放送されたテレビアニメ版(全59話)のフィナーレも同様です。最終回では特別な悲劇や離散などは一切描かれず、町内の運動会やバザーを舞台にハゲ丸一家が賞品を根こそぎ奪い去ろうとする、いつもと変わらぬエネルギーに満ちた爆笑劇で幕を閉じました。
なぜこのような陰鬱なデマが流布したのか。その背景には、連載終了がバブル崩壊と時期を同じくしていたこと、そして作者自身が後に現実世界で深刻な借金苦に直面したというドキュメンタリーの事実が、読者の記憶の中で無意識に混同されてしまった心理的背景が存在します。「フィクションのハゲ丸一家」は、一度として貧しさに負けて悲壮感を漂わせたことはありませんでした。