今でこそ全国の茶の間に欠かせない存在となったふたりですが、その道のりは決して平坦ではありませんでした。福岡吉本の看板として地元で圧倒的な知名度を誇りながらも、東京進出のタイミングを長年模索し続けた背景には、地方と中央の分厚い壁が存在していました。
転機が訪れたのは2005年、30代半ばでの本格的な上京です。翌2006年には博多華丸が児玉清のモノマネで『R-1ぐらんぷり2006』優勝を果たし、全国的な脚光を浴びます。ピン芸人としてのブレイクに焦燥感を抱えかねない局面にありながら、大吉は「華丸の才能を世間に認知させるための最大のチャンス」と捉え、冷静に裏方に徹しながらコンビの漫才を磨き続けました。
その執念が結実したのが、2014年に開催された賞レース『THE MANZAI 2014』での完全優勝です。決戦で見せた「宴会の乾杯の挨拶」「YouTuberになりたい」を題材にしたネタは、日常の何気ない会話を大人の哀愁と巧みな構成力で極上のエンターテインメントへと昇華させた傑作として知られています。派手な奇策に頼らず、王道のしゃべくり漫才で頂点を極めたこの勝利は、吉本興業内外の芸人たちから「ベテランの希望の星」として称賛を浴びました。