インターネット上の掲示板やSNSでは、吉塚うなぎ屋に関して一部の先入観や誤解が見受けられます。特に現場を取材して判明した「知られざる盲点」を2点挙げて解説します。
1点目は、「韓国人観光客(インバウンド)ばかりで味が変わったのではないか」という風評被害です。現在、韓国の旅行コミュニティやNAVERブログで「요 시즈카 우나기 야」は博多旅行の必食リスト最上位に君臨しています。韓国には「ポクナル(伏日)」にうなぎなどの滋養食を食べる文化があり、日本の炭火焼き蒲焼きのクオリティに対するリスペクトが極めて高い土壌があります。
その結果、韓国人客の比率が日によっては4〜5割に達することもありますが、厨房を預かる職人の布陣や炭火の温度管理、「こなし」の回数、タレの調合は創業以来の厳格な規律を保っており、観光地化による味の劣化という噂は明確な誤認です。多言語タッチパネルやバイリンガルスタッフの配置など、オペレーションが洗練されたに過ぎません。
2点目の誤解は、「タレが別添えなので蒲焼きの味が薄い」という初訪問者の勘違いです。普段からタレで真っ黒に染まったご飯に慣れている人がうな重を注文すると、蒲焼きそのものの色合いが上品であるために薄味と錯覚することがあります。しかし、吉塚の真価は別添えのタレに蒲焼きを軽くくぐらせ、自ら好みの塩梅をコントロールできる自由度の高さにあります。鰻自体の旨味と脂の甘みを舌先でダイレクトに感知した後に白米を追わせる食べ方こそが、同店が何世代にもわたって守り抜いてきた至高の設計です。