メソポタミア文明の文字・楔形文字の起源とは?解読史と誕生の真相

メソポタミア文明の文字・楔形文字の起源とは?解読史と誕生の真相

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紀元前後に使用が途絶え、2000年近く誰にも読めない謎の文様となっていた楔形文字が再び息を吹き返した背景には、19世紀の考古学者や言語学者たちによる壮絶なドラマがありました。楔形文字解読理由の根底にあったのは、旧約聖書に登場するバビロンやニネヴェの実在を証明しようとした西洋近代の知的好奇心と発掘熱です。

最大の転機となったのは、イギリス陸軍将校ヘンリー・ローリンソンによる決死の調査です。1830年代から1840年代にかけ、ローリンソンは現在のイラン西部にある標高約100メートルの断崖絶壁に刻まれた「ベヒストゥーン碑文」の調査に着手しました。足場もない危険な崖にロープを張り、宙吊りになりながら文字の型取りを行った記録は、彼の手記にも克明に綴られています。

この碑文には、アケメネス朝ペルシアの王ダレイオス1世の功績が、古代ペルシア語、エラム語、バビロニア語(アッカド語の方言)の3言語で同内容併記されていました。すでに解読が進んでいた古代ペルシア語の知識を手がかりに、既知の人名や王の系譜を照合していくことで、難解極まるバビロニア語楔形文字の構造が突き止められたのです。このローリンソン解読経緯は、エジプト文字解読におけるロゼッタストーンに匹敵する金字塔と評価されています。

1857年には、ロンドンの王立アジア協会がローリンソン、ヒンクス、オッペール、タルボットの4人の学者に未公開の同一碑文テキストを個別に送付し、それぞれ独立して解読させる厳格な公開実験を実施。提出された4通の翻訳結果が細部に至るまで完全に一致したことで、楔形文字の解読成功が国際的に公式認定されました。

高橋 健太
著者

高橋 健太

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。