2012年ロンドンオリンピックを目前に控えた2012年春、猫ひろしはカンボジア代表選考会で好成績を収め、男子マラソンのオリンピック代表選手として一度は内定を勝ち取りました。しかし、夢の舞台を目前にした2012年5月、国際陸上競技連盟(現・ワールドアスレティックス)から非情な通達が下されます。
問題となったのは、国籍変更に伴う代表資格ルールでした。国際陸連の規定(当時のRule 4.2)では、国籍を変更した選手が国際大会に出場する場合、以下のいずれかの条件を満たす必要がありました。
・新国籍取得後、1年以上の継続居住実績があること
・過去に国際大会で自国代表として出場経験がない場合でも、国籍変更から満1年が経過していること
猫ひろしの国籍取得は2011年10月下旬であり、2012年8月のロンドン五輪男子マラソン開催時点では、取得から1年にわずか2ヶ月ほど足りませんでした。カンボジア側は特例措置を申請したものの、国際陸連理事会は「国籍変更の抜け道利用を防ぐ厳格な適用」を理由にこれを却下。ロンドン五輪への出場は完全に白紙となったのです。