暴力団という「巨大な重石」が外れた歌舞伎町で、真空地帯となった利権に手を伸ばしたのが、準暴力団と位置づけられるチャイニーズドラゴン(怒羅権の後身組織等)や、暴走族OBを中心とする半グレ勢力でした。
特にチャイニーズドラゴンは、中国残留孤児の2世・3世を中心に形成され、強固な血縁・地縁ネットワークを武器に歌舞伎町へ深く根を張ってきました。彼らは従来のヤクザのような上下関係のピラミッドを持たず、緩やかな連携で動くため、警察当局にとっても組織の全容解明が極めて難しいとされています。過去には歌舞伎町の飲食店ビルで発生した乱闘事件などで世間を震撼させましたが、現在は表立った乱闘を避け、違法カジノや風俗ビジネス、海外送金ルートなど実利重視のビジネスを展開しています。
さらに深刻なのが、新宿東宝ビル周辺、いわゆる「トー横」をめぐる情勢です。家出少女や若者が集まるこの広場には、一見すると暴力団の影は見えません。しかし、警視庁による度重なる一斉補導や摘発の現場証言からは、背後に潜む暗部が浮き彫りになっています。
「トー横キッズ」と呼ばれる未成年者たちに接近するのは、暴力団そのものではなく、その周辺に位置する悪質なスカウトマンや「闇バイト」の手配師たちです。彼らは孤立した若者たちに寝床や食事、オーバードーズ用の市販薬を提供して懐柔し、大久保公園周辺での立ちんぼ(売春)や、特殊詐欺の「受け子・出し子」として利用します。このスカウトグループや元締めの上層部に、住吉会系をはじめとする暴力団関係者が資金回収役として関与していた事件は、報道各社のニュースでも繰り返し報じられています。