菅野美穂という稀代の女優の歩みを振り返るうえで、華やかな歴代の交際歴を避けて通ることはできません。若手時代にはドラマ共演を機に柏原崇との爽やかな交際が取り沙汰され、その後は岡田義徳との親密関係が報じられたこともありました。しかし、世間の記憶に最も深く刻み込まれているのは、稲垣吾郎との約8年におよぶ大恋愛です。
ふたりは1999年のドラマ『ソムリエ』や2000年の映画『催眠』での共演を通じて急接近しました。当時、トップアイドルと実力派若手女優の交際は厳戒態勢でしたが、互いの自宅を行き来する姿や沖縄旅行などが幾度となくキャッチされ、芸能界きっての「公認カップル」として親しまれました。菅野美穂が稲垣吾郎の愛車を運転する姿なども目撃され、世間は完全に「ふたりはいずれ結婚する」と確信していたのです。
しかし、2008年夏に決定的な破局を迎えます。当時、菅野美穂は30歳という人生の節目を迎え、家庭を持ち子供を産み育てたいという結婚願望が急速に強まっていました。一方の稲垣吾郎は、国民的アイドルグループSMAPの主要メンバーとして活動の絶頂期にあり、当時のジャニーズ事務所のマネジメント方針や自身の独自のライフスタイル(独身貴族的な美学)から、結婚に対して踏み切れないジレンマを抱えていました。
当時の特番インタビューや女性誌の告白において、菅野美穂は仕事と私生活のバランスに苦悩する胸中を吐露していました。「30代をどう生きるか」という根本的な価値観のズレと結婚観の違いが、長すぎた春に終止符を打つ決定打となったのです。このときの「世間が結婚を信じて疑わなかった期間の長さ」こそが、現在でも「堺雅人とは再婚だったのでは?」と勘違いされる最大の心理的バイアスとなっています。