本作を語る上で避けて通れないのが、執拗かつ巧妙に行われる社内イジメの描写だ。書類の破棄、嫌がらせメールの送信、集団での無視や濡れ衣を着せる策謀など、オフィスという閉ざされた空間で繰り広げられる仕打ちは凄惨を極めた。視聴者が息をのむような緊迫感を生み出した背景には、綿密に構築された人物関係と社会構造の裏設定が存在する。
脚本を担当した渡辺千穂は、登場人物たちの持つ屈折した嫉妬心や自己保身、組織特有の無関心を静かにあぶり出した。イジメを行う側にもそれぞれの抱える劣悪な環境や歪んだ正義感があり、単なる勧善懲悪の図式には収まらない。加害と被害の表裏一体性を描くことで、人間の弱さや醜さが浮き彫りになり、物語に重厚なリアリティをもたらしている。