繁華街の路地裏に漂う豚骨の匂いに誘われて暖簾をくぐると、そこには昼間のオフィス街とはまったく異なる人間模様が広がっている。終電を逃したスーツ姿の会社員、深夜シフトを終えた医療従事者や飲食関係者、クラバーや若者のグループが、等しく湯気の立つ丼に向き合っている。
SNSやコミュニティサイトに投稿された数万件の口コミデータを分析すると、深夜の客が求めているのは単なる「味の洗練」だけではないことが浮き彫りになる。特に注目されるのが深夜こってりラーメンの評判だ。「昼間に食べると胃が重くなる背脂ギタギタのスープが、深夜2時を過ぎると魔法のようにスルスル入る」「にんにくを卓上からスプーン3杯投入したときの破壊力は深夜しか許されない」といった、極限状態でのパンチ力を称賛する声が圧倒的多数を占める。
一方で、近年のトレンドとして見逃せないのが深夜ラーメン穴場ランキングの上位に食い込む「淡麗系・貝出汁系」の躍進だ。新宿や渋谷、難波などの主要繁華街では、こってり系が長年覇権を握ってきたが、近年は「シジミやアサリのオルニチンが染み渡る」「翌朝に残らない優しい塩味」を売りにする深夜限定店に行列ができている。現場取材に応じた30代のIT企業勤務男性はこう証言する。
「20代の頃は終電を逃したら迷わず家系か背脂系に駆け込んでいましたが、30代半ばを過ぎてからは貝出汁の優しい塩ラーメン一択です。疲弊した肝臓に滋味が染み込んでいく感覚があり、胃もたれも防げる。深夜の選択肢が増えたのは本当にありがたい」(都内繁華街での取材にて)
また、深夜ラーメンおすすめ名店を巡る動向としては、インバウンド観光客の流入も現場の空気を変えている。歌舞伎町や道頓堀などの24時間店では、多言語タッチパネルが整備され、深夜3時であっても外国人旅行客が長い列を作る光景が日常化した。活気を取り戻した一方で、深夜の「静かな隠れ家」を求める常連客は、駅から少し離れた住宅街寄りの穴場店へと拠点を移す動きも見られる。