京本政樹が時代を象徴するスターダムへと駆け上がった背景には、若い頃に打ち立てた鮮烈なパブリックイメージがあります。1979年にNHK土曜ドラマ『男たちの旅路』シリーズの「車輪の一歩」で本格的に俳優デビューを飾り、大河ドラマ『草燃える』や名作『銭形平次』などで着実にキャリアを積み重ねた彼は、1985年に社会現象となった『必殺仕事人V』の組紐屋の竜役で決定的なブレイクを果たしました。
従来の時代劇における殺陣といえば、泥臭い太刀回りや骨太な武骨さが主流でした。しかし、京本が演じた組紐屋の竜は、鈴の付いた色鮮やかな組紐を宙に投げ、屋根裏から悪人を絞首するという優美かつ残酷なアクションを披露。中性的な美貌と冷徹な眼差し、そして闇夜に映える漆黒の衣装は、当時の若者層や女性ファンを瞬く間に熱狂させました。
この役柄によって確立された「和と洋が交差する耽美的なアイコン」としての地位は、後の特撮ヒーロー作品や舞台作品、さらにはビジュアル系ロックバンドの美意識にまで多大な影響を及ぼしました。若き日の彼が自らの手で切り拓いたこの強烈なオリジナリティが、現在の活動における揺るぎない基盤となっています。