ピッチに立つ選手たちにとって、北中米共催大会は「過去最も過酷なコンディショニング」を強いる大会となります。その主たる要因は、広大な北米大陸の地理的特性と気候の多様性にあります。
今大会で使用される全16会場の内訳は、アメリカ11都市、メキシコ3都市、カナダ2都市。西海岸のロサンゼルス(SoFiスタジアム)やバンクーバーから、東海岸のニューヨーク、南部のマイアミ、そして標高2,200メートルを超えるメキシコシティまで、移動距離は数千キロに及びます。現地取材を続けるサッカージャーナリストは、記者会見の舞台裏をこう明かします。
「森保一監督はスタッフ会議において、『総力戦でなければ乗り切れない』と何度も強調しています。カタール大会のように単一都市(ドーハ)近郊で全試合が完結したコンパクトな大会とは真逆です。最大3時間の国内時差、移動ごとの気温差・湿度差、さらには天然芝とハイブリッド芝のピッチ感の違いが、選手の筋肉疲労を極限まで蓄積させます」
公の場で森保監督が見せる冷静な表情の奥には、ターンオーバー(先発ローテーション)を前提とした選手層の拡充という綿密な計算があります。遠藤航、守田英正、久保建英、三笘薫といった欧州トップクラブで主力を張る選手たちに加え、Jリーグや欧州中堅リーグから台頭する新戦力の抜擢が続いているのは、この過酷な移動シナリオを見据えての布陣です。SNS上でもサポーターの間で「誰がスタメンでもクオリティが落ちない5人交代枠の使い方が勝敗を分ける」という現実的な議論が定着しつつあります。