なすの調理は、包丁を入れる最初の一手であるヘタの処理から始まります。何気なくガクごと一直線に切り落としてしまう方が多いですが、これは可食部を大きく無駄にする典型例です。
推奨されるなすのヘタの切り方は、いわゆる「鉛筆削り」の手法です。ヘタのとがったトゲに注意しながら、ヒラヒラとしたガクの部分を包丁の刃先でくるりと一周削ぎ落とします。その後、先端の固い軸だけを薄く切り落とせば、ヘタ下にある最も甘みと香りが凝縮された果肉を無駄なく活かすことができ、廃棄率を従来より約15%カットできます。
ヘタを処理した後に登場する最も身近な基本技術が、なすの輪切りとなすの半月切りです。単純な切り方に見えますが、用途に応じた厚みの設計が料理の完成度を左右します。
- なすの輪切り(厚さ5mm〜1.5cm):均一な円盤状に切る手法です。5mm前後の薄切りはグラタンやピザトーストなど素早い加熱に向き、1.5〜2cmの厚切りはステーキやソテー用として最適です。厚切りにする場合、表裏に格子状の浅い切り込みを入れておくと、中までトロトロに火が通ります。
- なすの半月切り(厚さ7mm〜1cm):縦半分に割ってから端から一定幅で切る手法です。切り口の面積が広くなるため火通りが格段に早く、忙しい日の味噌汁の具材や、豚肉との短時間炒め物に絶大な威力を発揮します。