インターネット上の考察掲示板や知恵袋などでは、長年にわたり「エル・プサイ・コングルゥには高度な学術的元ネタが存在するのではないか」という議論が白熱してきました。特に著名なのが、複数の古代言語を組み合わせたという仮説です。
ネット上で流布した主な語源説には、以下のような組み合わせが挙げられます。
- El(エル):ヘブライ語で「神」、またはスペイン語圏における男性定冠詞。
- Psy(プサイ):ギリシャ文字の「Ψ(プサイ)」、あるいはギリシャ語で「精神・魂・心」を意味する「Psyche(プシュケー)」。
- Kongroo(コングルゥ):ラテン語で「一致する」「調和する」「適合する」を意味する動詞「congruo(コングルオ)」の変形。
これらを繋ぎ合わせ、「神の精神と調和せよ」「神の魂の一致」といった荘厳な祈りの言葉であるとする解釈が、ファンの間でまことしやかに語られてきました。知的探求心をくすぐる非常に魅力的な考察ですが、制作サイドの公式見解はこうした深読みを鮮やかに裏切っています。
『STEINS;GATE』というタイトル自体が、ドイツ語の「Stein(石)」と英語の「Gate(扉)」を響きの格好良さだけで組み合わせた造語(劇中設定でも岡部本人が「特に意味はない」と認めている)であるのと同様、「エル・プサイ・コングルゥ」もまた、岡部の頭の中で鳴り響いたインスピレーションの産物に過ぎません。もっともらしいラテン語解釈は、作中で岡部が周囲の大人たちを煙に巻くために張り巡らせた「知的なハッタリ」の構造そのものであり、ファンが後付けで高度な意味を見出してしまう現象そのものが、作品の持つリアリティと中二病描写の巧みさを証明しています。