カメラの位置を上下に振った「アオリ(見上げ)」や「フカン(見下ろし)」のアングルになると、正面顔の比率は大きく変形します。ここで丸暗記した比率だけに頼っていると、対応できなくなります。
輪郭の書き方とアオリ・フカンを攻略するための核心は、人物デッサンの基本手順に立ち返ることです。顔の造形を平面の記号として捉えるのではなく、首の上に鎮座する「円柱と球体の複合体」として認識しなければなりません。
アオリ構図の場合、カメラは見上げる視点となるため、目の基準線や鼻・口のラインは上向きの緩やかなアーチ(下から見上げたカーブ)を描きます。同時にアゴの裏面(下顎底)が露出して耳の位置は通常より下に下がり、鼻先が目を部分的に覆い隠すような重なり(オーバーラップ)が発生します。
フカン構図ではその逆で、パーツラインは下向きのU字カーブを描き、頭頂部やおでこの面積が広大になる一方、アゴ先は尖って極端に短く見えます。耳の位置は目のラインよりも遥かに高い位置へとシフトします。パルミーの講座が「頭部をひとつの立体として捉える」と説く理由はまさにここにあり、表面のパーツを動かすのではなく、まず顔の輪郭面という「お面」の傾きをアタリの楕円線で決定することが不可欠なのです。