日本国内の野生環境には当然ながらピューマは生息していませんが、全国各地の動物園でその躍動的な姿を安全に観察することができます。近年、動物園におけるピューマの展示方法は劇的な進化を遂げています。
かつてのコンクリート打ち放しの狭い檻(ビーストケージ)展示から、生息地であるロッキー山脈やアンデスの荒涼とした岩場を再現した「環境エンリッチメント」型展示への移行が進められています。岩手県の盛岡市動物公園ZOOMOや、愛媛県立とべ動物園、静岡市立日本平動物園などでは、ピューマの持ち味である立体的な行動を存分に引き出す設計が採用されています。
飼育現場の担当者が一様に口を揃えるのは、その「規格外の身体能力と、それに反比例するような神経質さ・繊細さ」です。展示ケージの上部にキャットウォークや切り立った擬岩を設置すると、助走なしで軽々と頭上へと跳躍し、高い位置から来園者を静かに観察する本来の習性を見せます。
動物園を訪れる際のベストな観察時間帯は、多くのネコ科猛獣が活発に動き始める開園直後、もしくは夕方の給餌タイム(15時〜16時前後)です。日中は岩棚の窪みで丸くなって眠っていることが多いものの、夕刻になると筋肉の隆起した美しい四肢を伸ばし、ガラス越しでも伝わる迫力に満ちたステップを踏み始めます。イエネコそっくりの前脚を使った丁寧な毛づくろいや、鋭い視線で動くものを追う仕草の中に、捕食者としての研ぎ澄まされた本能を垣間見ることができます。