フランス統治時代に持ち込まれた金属製フィルター「フィン」は、ベトナムコーヒーの象徴だ。ゆっくりと時間をかけてドリップされる濃厚な液滴は、忙しない現代社会に対するアンチテーゼのようにも映る。だが今、現地の先進的な店舗では、この伝統器具と最先端の抽出テクノロジーが融合を果たしている。
水温管理をミリ単位で制御するスマートフィンや、抽出圧力を最適化するカスタム器具を導入する店舗が増加。伝統の力強い味わいを生かしつつ、雑味を徹底的に抑えたクリアな一杯を提供する。昔ながらのスタイルを守る路地裏の老舗と、実験室のようなサードウェーブ系店舗が背中合わせに存在する光景は、今のベトナムならではの面白さだ。