では、なぜ開発公式はこれほどまでに救いのない設定を後付けのように追加したのでしょうか。この疑問には、主に世界観の深化とアローラ地方の文化的背景という2つの側面が存在します。
まず第一に、第7世代『サン・ムーン』のメインテーマが「自然と生命の循環、アローラ独自の生態系」であった点です。アローラ地方の図鑑説明文は全体的に弱肉強食や生々しい生態にフォーカスされており、他地方の技術であるメガシンカを「自然の理をねじ曲げる異質な力」として客観的・批判的に捉える視点が採用されました。
第二に、メガシンカというシステムの説得力向上です。ゲームバランス的にも圧倒的な種族値上昇を誇るメガシンカに対して、「ノーリスクで強大な力を手に入れられるはずがない」というトレードオフの概念を世界観レベルで肉付けした結果といえます。
光が強ければ影も濃くなるように、強大な力を引き出す行為にはそれ相応の危険と痛みが伴う――。ポケモンという生物の生々しさをリアルに描き出すための演出意図がここに込められています。