多くの来店者が目当てにするのが、ランチ限定の漬け野菜プレートです。木製プレートの上に整然と並べられた12の豆皿。そのビジュアルは圧巻ですが、真に驚くべきはその緻密に計算された調理技法にあります。
日本の伝統的な漬物は、塩、糠、味噌などで長期保存を目的に作られてきました。しかしイソイズムが提示するのは「短時間で野菜のポテンシャルを極限まで引き出すための調味技術」です。例えば、みずみずしいトマトには白ワインビネガーと蜂蜜を纏わせ、甘味と酸味を際立たせる。根菜類にはスパイスを効かせたオイル漬けを施し、青菜には酒粕や西京味噌を軽やかに合わせるなど、フレンチやイタリアンの技法が縦横無尽に取り入れられています。
プレートの中央に据えられるのは、日替わりの炊き込みご飯と季節のスープです。土鍋でふっくらと炊き上げられたご飯は、出汁の香りが立ち上り、濃厚な漬け野菜との相性が緻密に計算されています。実際に箸を進めると、シャキシャキとした食感、鼻に抜けるハーブの香り、発酵食品由来の奥深い旨味が次々と押し寄せ、最後まで食べ手を飽きさせません。「野菜だけで本当にお腹がいっぱいになるのか」という事前の懸念は、食べ終える頃には心地よい満腹感へと変わっています。