高知市内で昨今目覚ましい進化を遂げているのが、フランスやドイツの伝統的製法に敬意を払った本格ハード系パンの分野です。かつては柔らかい菓子パンや総菜パンが主流だった高知のパン市場において、ハード系特化型の店舗が連日完売を記録している背景には、消費者の味覚の成熟と「本物志向」の高まりがあります。
名店と呼ばれる厨房では、ライ麦や全粒粉の配合比率をミリ単位で調整し、16時間以上の低温長時間発酵を経て石窯オーブンで一気に焼き上げられます。クラスト(外皮)は力強く香ばしく、クラム(内相)は気泡をたっぷり含んでみずみずしい仕上がり。地元グルメ通の間では、焼き上がり時間を逆算して開店直後を狙うのが鉄則となっています。
また、高知市内で極上のクロワッサンを求める層から絶大な評価を得ているブーランジェリーでは、フランス産発酵バターの折り込み回数や室温管理に妥協がありません。ひと口かじった瞬間に幾重にも重なる極薄の層が砕け散り、濃厚なバターの芳香が鼻腔を抜ける体験は、チェーン店では決して味わえない職人技の結晶です。