裏社会を追うジャーナリズムが今もっとも注視している山口組最新ニュースの焦点は、司忍組長の引退時期と「七代目山口組の継承式」をどのような形で行うのかという一点に絞られています。司忍は80代半ば、髙山清司も70代後半。どれほど強固な権力を誇ろうとも、生物学的な時間制限だけは回避できません。
現在、最有力と目されているシナリオは、髙山自身が七代目を継ぐのではなく、直系の愛弟子である三代目弘道会・竹内照明会長へ七代目の座を禅譲し、自らは「太上皇」として後ろ盾に回るコースです。しかし、この弘道会中心の継承ラインに対しては、他系列の直参組織のなかに鬱屈した不満が沈殿しているのも事実です。
【プロの結論】暴力団排除社会における組織硬直化と「二強体制」の構造的限界
社会学および組織統治論の観点から六代目山口組の歩みを分析すると、司忍と髙山清司が作り上げた「弘道会支配モデル」は、組織の合理化と引き換えに致命的な硬直化を招いたと結論づけられます。
暴力団を社会から徹底的に排除する法整備が進んだ2020年代以降、裏社会の構成員は銀行口座の開設、携帯電話の契約、不動産の賃貸はおろか、家族名義のホテル宿泊すら詐欺罪として摘発される極限状態に置かれています。かつてのように「武闘派として名を馳せ、経済的に成功する」というヤクザの成功モデルは完全に崩壊しました。
髙山が築いた恐怖政治に近い中央集権体制は、抗争に勝利をもたらした一方で、下の世代が自発的に育つ土壌を根こそぎ奪い去りました。司・髙山の強烈な個性と統率力に依存しすぎたがゆえに、この「二強体制」が物理的に終焉を迎えた瞬間、組織全体が空中分解するリスクを内包しています。暴力団というシステム自体が歴史的黄昏を迎えるなか、髙山の権力維持への執念は、組織の寿命を延ばしているのか、それとも衰亡へのカウントダウンを早めているのか。歴史はその分水嶺に立っています。