2000年代初頭、細木数子氏の芸能界 影響力は全盛期を極めていました。TBS系『ズバリ言うわよ!』やフジテレビ系『幸せって何だっけ 〜カズカズの宝話〜』など、冠番組はいずれも世帯視聴率15〜20%超を叩き出し、彼女の一言でタレントの好感度や芸名、果ては事務所移籍まで左右される異常事態が生じていたのです。
当時、現場の番組プロデューサーや制作デスクが抱いていた感情は、崇拝というよりも「底知れぬ恐怖」でした。当時テレビ局の制作現場にいた関係者は、後に次のように証言しています。
「収録前の控室に入ると、彼女の周囲には常に強面の男性スタッフが取り巻き、異様な緊張感が漂っていた。少しでも段取りや発言の意図に不満があると、容赦ない罵声が飛ぶ。しかし、局の上層部や有力芸能事務所のトップさえも彼女に頭を下げていたため、現場のディレクターが意見することなど到底不可能だった」
なぜ、メディアはここまで無批判に彼女を神格化してしまったのか。その深層には、細木氏が芸能界の大御所たちの「借金問題」や「男女トラブル」を裏社会のパイプを駆使して解決してきたという歴史的恩義が存在していました。興行と裏社会が表裏一体だった昭和の芸能界において、修羅場を腕力と札束で収めてきた細木氏は、プロデューサーたちにとって「視聴率をもたらす救世主」であると同時に、「決して怒らせてはならない裏のフィクサー」そのものだったのです。