ネットカルチャーにおいてネットスラングとして用いられる「やりますねぇ」には、文脈によって複数のニュアンスが重層的に込められています。本来の文脈と、現在流通している用法を整理すると以下の通りです。
本来の意味合いは、相手に対する「感心」「見直した」「予想以上に手際が良い」という純粋な称賛です。しかし、元ネタの演技が醸し出す得体の知れない緊張感やコミカルな響きから、ネット上では「称賛半分・からかい半分」の冷やかしとして機能してきました。具体的には、対戦ゲームで見事な逆転劇を決めたプレイヤーへの賞賛、あるいはちょっとした悪知恵を働かせた相手へのツッコミとして「お、やりますねぇ!」と使われます。
2010年代半ば以降、ニコニコ動画のミーム文化からYouTubeやTwitchのストリーマー配信、VTuberのチャット欄へとプラットフォームが移行するにつれ、言葉の使われ方に大きな地殻変動が起きました。元ネタとなった成人向けビデオの存在を知らない新規ユーザーや小中高生が、人気配信者の口癖を真似る形でフレーズだけを無邪気に受容し始めたのです。これにより、本来のアングラな影が消え去り、「単なるカジュアルな褒め言葉」として使い方がアップデートされていきました。