読者の間で長らく混同されてきた論点が、「カルトとアルカの違い」、そしてカルトの感情の矛先です。カルトの心理を読み解く上で見逃せないのが、公式ガイドや作中の相関図に散見される「アルカに対する嫉妬」という決定的要素です。
ゾルディック家において、アルカはその底知れぬ力(ナニカ)ゆえに地下牢へ幽閉され、家族から「人ではない何か」として隔離されていました。しかしキルアだけはアルカを妹(弟)として愛し、命懸けで救出に向かいました。この構図は、カルトにとって激しい精神的葛藤を生み出します。
カルト自身は母親の命令に従い、母の望む「理想の人形」を演じ続けてきたにもかかわらず、キルアの心は家庭を拒絶してアルカへと注がれているという冷厳な事実があります。「兄を取り戻す」という言葉の裏には、キルアへの執着のみならず、キルアの愛情を独占するアルカへの激しい対抗心と疎外感が影を落としています。ネット上で囁かれる「カルトはただ家族思いの健気な子」という見方は一面的な理解に過ぎず、その本質は承認への飢渇に狂う痛切な末っ子の心理です。