松嶋菜々子のドラマキャリアを語る上で避けて通れない命題が、「ファンが選ぶ最高傑作はどれか」という問いです。歴代ランキング企画や映画情報サイトのアンケート調査において、常に首位を争い続けるのが『家政婦のミタ』(2011年、日本テレビ系)と『やまとなでしこ』(2000年、フジテレビ系)の2作です。
2011年10月期に放送された『家政婦のミタ』は、崩壊寸前の家庭に派遣された一切笑わない冷徹な家政婦・三田灯(みた・あかり)を描いた異色作でした。初回視聴率19.5%からスタートした同作は回を追うごとに右肩上がりを続け、最終回では瞬間最高視聴率42.8%、平均視聴率40.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)という驚異的な数値を叩き出しました。この「40.0%」という金字塔は、民放ドラマとしては2000年の『ビューティフルライフ』に並ぶ平成以降の歴代最高記録です。「承知しました」「それは業務命令でしょうか」という感情を排した決め台詞は流行語となり、痛烈な家族再生ドラマとして日本中を釘付けにしました。
一方、ラブストーリーの到達点として名高いのが『やまとなでしこ』です。「お金こそがすべて」と言い切り、玉の輿を狙うキャビンアテンダント・神野桜子を演じた松嶋菜々子の美貌とコメディエンヌとしての才能は、全編を通して圧倒的な輝きを放ちました。最終話の視聴率は34.2%に達し、MISIAが歌う主題歌『Everything』のメガヒットとともに、2000年代を代表する至高のロマンティックコメディとして今も不動の人気を誇っています。
重厚なサスペンスと家族愛を描いて社会現象化した『家政婦のミタ』か、軽妙かつ切ない心理描写で女性の生き様を肯定した『やまとなでしこ』か。作品の毛色は対極にありながら、どちらも松嶋菜々子という女優の「芯の強さ」と「圧倒的な華」が最大限に発揮された双璧といえます。