FGOにおけるインドラを理解する上で外せないのが、マハーバーラタを原典とするアルジュナとの父子関係、そしてカルナとの苛烈な駆け引きです。
アルジュナは、母クンティーがマントラによって雷神インドラを召喚し、その祝福を受けて授かった神授の子です。インドラは我が子アルジュナを溺愛し、天界へ招いて数々の神授兵装を授けただけでなく、舞踊や音楽の教育まで施しました。FGOの作中でアルジュナが放つ求道的なストイシズムや「授かりの英雄」という宿命の根底には、常に実父インドラの絶大なる庇護が存在しています。
一方で、太陽神スーリヤの子でありアルジュナの宿敵となった大英雄カルナに対して、インドラは冷酷な策謀家として立ちはだかりました。カルナが生来身にまとっていた「黄金の鎧と耳輪(カヴァーチャ&クンダラ)」は、いかなる神魔の攻撃も無効化する不死の防具でした。アルジュナの勝利を危惧したインドラは、貧しいバラモンの僧侶に姿を変えてカルナに近づき、彼が誓っていた「乞われた施しは断らない」という美徳を突いて鎧の譲渡を迫ったのです。
自らの肉体を切り裂いて血塗れの鎧を差し出したカルナの高潔さに、さすがの雷神も恥じ入り、返礼として「一度振るえば神仏すら焼き滅ぼす神槍」を与えました。これこそが、FGOでカルナが切り札として使用する対神宝具『日輪よ、死に随え(ヴァサヴィ・シャクティ)』の起源です。カルナの宝具演出で剥離される黄金の鎧と放たれる破壊の雷光は、すべてインドラとの魂の取引に由来しています。
仏教においては護法善神の筆頭である「帝釈天(たいしゃくてん)」として知られ、東寺の国宝彫像をはじめ日本文化にも深く根付いています。荒ぶる雷霆神であり、策謀を巡らせる父であり、仏教の守護神でもある多面性こそ、型月世界(TYPE-MOON世界)において極めて魅力的なサーヴァント像を形作っています。