旧姓・坂本日登美として活躍していた時代、彼女は世界選手権を連覇するなど圧倒的な強さを誇っていました。妹の坂本真喜子さんと共に「最強姉妹」として名を馳せましたが、当時の五輪階級には自身の得意階級(51kg級)がなく、階級変更を余儀なくされます。アテネ五輪、北京五輪の代表選考で吉田沙保里選手らに敗れ、夢を絶たれた彼女は失意の中で現役を引退しました。
引退後の彼女を襲ったのは、重度のうつ病と無気力状態でした。実家の八戸に引きこもり、天井を見つめるだけの日々を送っていた日登美さんを暗闇から救い出したのが、幼馴染でもあった小原康司氏です。二人の馴れ初めは、地元八戸のキッズレスリングクラブ時代にまで遡りますが、どん底の彼女を心配して康司氏が足繁く実家に通い、外へと連れ出したことが再起のきっかけとなりました。
康司氏は「もう一度レスリングをやろう。僕が全部サポートするから」と励まし続け、2010年に二人は結婚。坂本から「小原日登美」へと名前を変え、自衛隊体育学校を拠点に夫婦二人三脚での五輪再挑戦がスタートしました。