街で見かけるたびに強い存在感を放つ来夢来人の読み方は、「らいむらいと」です。初見では「らいむらいじん」や「くるむくるひと」などと誤読されがちですが、英語の「Limelight(ライムライト)」の音をそのまま漢字に写し取った、昭和期を代表する当て字文化の傑作として知られています。
来夢来人の意味と由来を紐解く上で欠かせないのが、喜劇王チャールズ・チャップリンが1952年に発表した映画『ライムライト』です。かつて一世を風靡しながらも落ちぶれた老道化師カルヴェロと、絶望に打ちひしがれた若きバレリーナの再生を描いた本作は、日本でも劇場公開と同時に社会現象を巻き起こしました。映画のタイトルである「ライムライト」とは、19世紀の劇場で主役を照らし出すために用いられた石灰光(生石灰を加熱して発する強烈な白色光)を意味し、転じて「名声」「脚光を浴びる舞台」を象徴する言葉です。
映画のヒットに伴い、日本国内では「ライムライト」という言葉が広く定着していきました。その過程で、飲食店や喫茶店の開業を目指す創業者たちの間で生み出されたのが来夢来人 当て字の真相です。単に音を真似るだけでなく、「夢が訪れ、素晴らしい人が来る店にしたい」という商売繁盛と人との巡り合いへの切実な祈りが、四つの漢字に見事に凝縮されています。商業看板の専門職人や当時の店舗オーナーたちが紡ぎ出したこの当て字は、単なる言葉遊びを超え、高度経済成長期の日本人が抱いた豊かなロマンの象徴となりました。