ネット上では「かませ犬」「典型的なピエロ」としてネタにされがちな彼ですが、作中の描写を綿密に検証すると、決して無能な弱者ではなかったという事実が浮き彫りになります。
冨樫義博氏の巧みな演出構造において、彼の役割は「クロロの異常な強さを読者に知らしめるための基準点」でした。周囲にいた歴戦の暗殺者たちが手刀の初動すら認識できなかった中、彼だけが即座に攻撃を捉え、そのフォームの無駄のなさを評価しています。
つまり、彼は「裏社会の強豪たちの中で突出して優秀だったからこそ、クロロの恐ろしさに半分だけ気づいてしまい、一人で挑んで命を落とした」という皮肉な構造になっています。本物の無能であれば、手刀に気づくことすらできず、命拾いしていた可能性すらあります。この「半端に高い能力が身を滅ぼす」というリアリティこそが、読者の記憶に残り続ける大きな要因です。